「ITインフラ」が実現するデジタルトランスフォーメーション

デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めていくにあたって、多くの企業で問題となっているのが「既存ITインフラの老朽化」です。2018年9月、経済産業省が発表した「DXレポート」によると、約8割の企業が老朽化システムを抱えており、約7割の企業が老朽化したシステムがDXの足かせになっていると感じているという調査結果があります。老朽化したITインフラは、業務スピードを遅らせるだけでなく、セキュリティリスクを増大させる可能性もあり、早急な再考が必須です。これまでのITインフラの変遷を見つつ、デジタルトランスフォーメーション時代に求められるITインフラについてお伝えします。
これまでのITインフラの変遷
企業が事業活動を継続し、利益を上げ続けるためには、ITインフラの活用が欠かせません。インターネットの普及、IT技術の進化により、企業で活用するITインフラも年々、アップデートを続けています。まずは、これまでのITインフラの変遷を簡単に振り返っていきましょう。
世界的に見ると、ビジネスにコンピュータが使い始められたのは1950年代ですが、日本において本格的に活用が始まったのは1960年代中ごろです。ただし、当時はマルチジョブ機能がなかったため、いちどにふたつ以上の処理はできませんでした。
その後、1960年代後半になると、1台のハードウェアで複数のハードウェアが同時に動いているように機能させられる「仮想化」の技術が登場しました。1980年代に入ると、安価なPC、ミニコン、オフコンなどが出始めたことで、仮想化技術を使わなくても複数処理を同時に行えるようになりました。この時期から、一部の部署だけでなく、業務ごとに個別にコンピュータを購入するようになり、業務効率が格段に向上しました。その半面、コンピュータの維持管理、トラブル時の対応、セキュリティ対策など、コスト面においても負担が増大し始めました。
2000年代に入ると、コンピュータにかかるコスト軽減を主な目的として、複数のハードウェアを集約できる「仮想化」に多くの関心が寄せられます。そして、仮想化技術を使ったクラウドサービスが登場しました。しかし、仮想化はメモリやストレージを大量に消費し、起動に時間がかかるといったデメリットがあるため、コスト負担の増大を完全に解決できたとはいえませんでした。
そこで、使われるようになったのが「コンテナ」です。コンテナとは、ひとつのOS上で、仮想化と同じように複数の作業を可能にするものです。それぞれにOSの機能を持たせる必要がなく、少ない消費資源でコンピュータを活用できるため、導入を進める企業が増えています。
従来のITインフラの問題点
ITインフラはさまざまな変遷を経て現在にいたりますが、今後、デジタルトランスフォーメーションを実践していく際に「大きな問題になる」と懸念されていることがあります。それは、既存のITインフラをそのまま残しておくと、さまざまな弊害を生み、デジタルトランスフォーメーション実施の妨げになってしまうことです。
具体的な問題点として、前出の「DXレポート」を見てみましょう。既存システムがDXの足かせとなっている主な理由として、以下が挙げられています。(参照元:経済産業省「DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜」)
1. ドキュメントが整備されていないため調査に時間を要する
既存システムのドキュメントを整備できていない企業は少なくありません。そのため、改修をしようにも調査に時間がかかり、業務が滞ってしまいます。
2. 既存システムとのデータ連携が困難
既存システムのドキュメントが整備されていないと、改修だけでなく、新システムへの移行もできなくなります。そのため、デジタルトランスフォーメーションを実施できない、といった事例も起こりえます。
3. 技術的な制約や性能の限界
IT技術の進化は速く、現時点では最新のシステムであっても、一瞬にして古いシステムになってしまいます。古くなればそれだけ技術的な制約が増え、性能の限界もあって、新しい技術に対応できなくなります。結果として、デジタルトランスフォーメーションを進めるうえで大きな足かせとなるのです。
4. 既存システムを扱える人材不足によるブラックボックス化
既存システムから新しいシステムへ移行できないでいると、いずれ既存システムを扱える人材がいなくなり、ブラックボックス化します。そうなると、新システムへの移行はもちろん、システム内のデータを取り出すことさえ難しくなってしまうでしょう。最悪の場合、そのシステムをまるごとあきらめなければならないケースも起こりえます。
デジタルトランスフォーメーション時代に求められるITインフラ
今後、デジタルトランスフォーメーションを実施していくうえで、「既存システムをどうするか?」は非常に重要な問題です。完全にブラックボックス化してしまえば、問題を解消できる可能性は限りなくゼロに近くなります。そうなる前に、少しずつでもデータ移行を進めていく必要があります。このことを踏まえて、デジタルトランスフォーメーションを実現するためのITインフラとはどういったものか、ポイントを説明します。
システムを連携させて一括管理する
同じ役割を果たすITインフラは、部署やチームの違いにかかわらず、同じもの、もしくは連携が可能なシステムを選択し、一括で管理できるようにします。
クラウドサービスを積極的に活用し、データ共有や外部連携を進める
本社と支社間、取引先など、社内外でデータ共有をする際は、クラウドサービスを積極的に活用します。これにより、管理の手間が省け、共有がスムーズになり、業務効率も向上します。また、状況に応じてマルチクラウドやハイブリッドクラウドを活用すると、リスクの分散につながるでしょう。実践する際は、以下のふたつの点に注意しなければなりません。
- 既存システムの不要な機能をできる限り排除し、簡略化する
- ウォーターフォール開発からアジャイル開発へ、業務の進め方を変革する
すべての既存システムを新システムに移行するには、多額のコストがかかります。そこで、既存システムであっても、使えるものは改善しながら活用するのです。新たなシステム開発においても、状況に応じて柔軟な要件変更・機能追加が可能なアジャイル開発へ、業務の進め方を変革します。
まとめ: ITインフラの改善には、高速大容量ストレージの活用が欠かせない
デジタルトランスフォーメーションを進めていく際に、既存の老朽化したITシステムをそのまま活用することは、さまざまな観点から見てリスクが高いといえます。そのため、できるだけ早急な改善が求められますが、人材や予算に大きなコストを割くのが困難な企業もあるでしょう。
そこで、少しずつ「既存のITインフラ」を「最新のITインフラ」へ変更していく方法があります。ここでポイントとなるのが「ストレージ」です。デジタルトランスフォーメーションを進めるには、多くのデータを迅速に分析する必要があります。効率よく分析を行うためにも、ストレージはできる限り高速で、大容量なものにしなければなりません。
最近は、ストレージというとクラウドのイメージが強いかもしれません。しかし、「高速かつ大容量のストレージ」となると、オンプレミスのほうが低コストで導入できる場合もあります。自社の現状をしっかりと見極めながら検討していく必要があるでしょう。
高速大容量ストレージ「INFINIDAT」は、Flashを超えるパフォーマンス、数PBのスケーラビリティを実現し、クラウドにも対応します。マルチクラウドやハイブリッドクラウドを検討している場合も、効果的な活用が可能です。ITインフラの刷新を検討している企業は、高速大容量ストレージ「INFINIDAT」も選択肢に入れておくことをおすすめします。