ディザスタリカバリ(DR)-災害などによる被害からデータを回復する方法-

東日本大震災以降、事業継続計画や障害復旧(ディザスタリカバリ=DR)への関心が一般企業でも高まる傾向にあります。すでに多くの企業が対策を講じていますが、DR対策に関しては単にデータをバックアップする、あるいはレプリケーションするまでにとどまり、現実に大規模災害などが発生した場合に、確実に復旧できると企業自身が確信していないケースも多く見られます。一層のリスク対処の強化が求められている現代の企業社会にあって、DR対策のポイントと災害時のデータ復旧方法について考えていきます。

ディザスタリカバリとは

ディザスタリカバリとは、災害時のシステム障害をできるだけ早急に復旧・修復するための仕組みや体制のことです。過酷な災害の状況下でも、企業はシステム停止をまぬがれるための対策、あるいは被害を最小限に抑えてダウンタイムを極力短縮し、システムの早期復旧を可能にすることを目標とする必要があります。そのための予防措置の検討も含まれます。

事業継続計画を念頭に置くと、企業の重要な拠点となる施設が自然災害や事故に遭遇した場合にも、データを損失することがないように遠隔拠点にバックアップを複製するといったように、システムやネットワークの遮断を防止して、早期復旧を図るための対策を講じることが重要課題とされます。

そのためには、システムの冗長化(二重化)やデータのバックアップ、適切なデータセンターの活用といったディザスタリカバリのための措置を平常時から十分に考慮していくことが求められます。

成長するディザスタリカバリ市場

ディザスタリカバリの市場は成長しています。その規模や理由などについて考えてみましょう。

  • 市場規模は拡大傾向
    ディザスタリカバリの市場は2025年で約262億円ドルの規模になるとされています。
  • ファイルやオブジェクトのスケールが拡大
    大規模データ(ビッグデータ)の活用やオブジェクト(プログラムコードやデータベース、3Dデータ、CGなど)の大容量化に伴って、ファイルやオブジェクトのスケールが拡大しています。
  • 東日本大震災以降、日本でも関心が非常に高まっている
    未曽有の大震災が起きた結果、多くの企業でデータやシステムが崩壊しました。震災をきっかけに、「災害からデータをどう守り、どのように復旧するか?」についての関心が急速に高まっています。

災害の被害を受けたときにデータを復旧する方法

では、災害の被害を受けたときに、敏速にデータを復旧させ、業務上の支障を発生させないためにはどのような方法があるのでしょうか。データの保全と復旧にはさまざまな方法があるため、それぞれの長所・短所を知っておくことが重要です。具体的にどのような方法があるかを見ていきましょう。

1.遠隔バックアップ(メディア搬送)

テープのようなメディア搬送によるバックアップは、リストア時に「距離に比例してデータ復旧に要する時間が長くなる」というデメリットがあります。その一方で、最近は磁気テープ自体の大容量化・低コスト化が進んでいるため、「大容量データであっても問題なく確実にリストアできる」というメリットがあります。

2.遠隔バックアップ(ネットワーク)

メディアの搬送と比較すると、迅速にリストアを行えるところがメリットです。ただし、データが大容量になった場合や高速回線を確保できない場合は、長い時間を要するうえに、ネットワークに高負荷がかかり、業務に支障が生じる恐れがあります。また、通信障害が発生するとリストアできなくなる、といったデメリットもあります。

3.遠隔レプリケーション

ネットワークを経由した遠隔地へのバックアップが長い時間を要することを考慮し、重複排除により日常的に差分バックアップデータのレプリケーションを行う方法です。例えば、新規に生成された作業データの差分だけを、1日1回のように高頻度でネットワーク経由により遠隔地と同期させます。時間のかかる遠隔バックアップは、週1回といった頻度で行います。
※一般的にレプリケーションとは、データの複製(レプリカ)を一定の頻度で別のコンピューター上に作成し、ネットワークを介して元データをリアルタイムに反映させ、常に内容を同期させることを指します。

4.多重化システム

システム停止や業務の停止につながる「障害の最大原因」となりやすいサーバーのハードディスクをRAIDなどで多重化して、リアルタイムに同期させることによって、万一、サーバーのハードウエアに障害が発生しても、停止しないような高可用なシステムを実現させます。

5.遠隔クラスター

サーバーの多重化をさらに進め、システム単位で複数のノード(地点)に拡張します。ネットワークミラーリング機能などにより、遠隔地や拠点のすべてのサーバーに常に最新のデータを保持させ、災害時にも復旧を意識することなく、自動的に業務を継続できるようにします。手作業でのデータ復旧が不要になるため、複雑な復旧手順のマニュアル化を回避し、作業コストや時間を削減することができます。また、この方法はシステムの停止時間も非常に短くなるため、業務上の機会損失を最小化できます。

迅速なディザスタリカバリ体制の構築に必要な条件

データ復旧に関するさまざまな方法を見てきましたが、迅速なディザスタリカバリ体制の構築には、それを容易に運用できるための条件と、さまざまな要求に対応できる機能を備えたシステムが必要になります。そのためにどのような点に着目すべきでしょうか。

  1. 定型的な運用を自動化できること
    動的に変化し続けるシステムにおいて、日々の定常的な運用業務におけるオペレーションを、最小限のコストで、効率的に、しかも安定して自動化することが求められます。
  2. 非定型な運用のように自動化が困難な場合はスケール可能な運用ができること
    非定型で自動化が困難なオペレーションについては、データ量が急速に拡大するといった事態や、折々のシステムのニーズに応じて即座にスケールできるような設計と運用手順の柔軟性が求められます。
  3. バックアップシステムが高性能であり、信頼性が高いこと
    バックアップシステムのコストパフォーマンスはもちろん、業務をできるだけ中断することなく、復旧できるだけの品質(信頼性)を備えていることが必要です。
  4. 迅速なリカバリーに対応していること
    大容量データであっても迅速に復旧できることが望まれます。
  5. データ復旧までの手順が単純であること
    非常時にも慌てることなく、単純な手順でデータを復旧できることが求められます。属人性を排除し、簡潔にマニュアル化されていることが理想です。
  6. 管理機能が優れ、拡張性があること
    管理者が戸惑うことなく管理機能を操作でき、また将来の拡張性も配慮された設計であれば、安心して利用できます。
  7. その他
    コストパフォーマンスや複数のプロトコルに対応していること、ファイルだけでなくブロックやオブジェクトにも対応していること、アーカイブ領域も一定のカバーができること、などが挙げられます。

まとめ:災害からのデータ復旧には、持続性のある運用体制と信頼できる高性能なシステムが必要

ディザスタリカバリへの関心の高まりを背景に、市場は急成長しています。災害に備えてデータをバックアップし、迅速に復旧させる方法は、さまざまなパターンが考えられます。それぞれのメリット、デメリットをよく検討しなければなりません。ディザスタリカバリシステムに関しては、持続性のある運用体制、定型業務の自動化や柔軟性、信頼できる機能、高い可用性、将来を見据えた拡張性、などを備えた高性能なシステムが必要になります。

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