多くの企業で密かに進む情報の「サイロ化」、その弊害と解決法を解説

多くの企業で密かに進む情報の「サイロ化」、その弊害と解決法を解説

多くの企業で密かに進む情報の「サイロ化」、その弊害と解決法を解説

日本の企業は縦割り組織が多いと言われており、かねてから縦割り組織の弊害は指摘されてきました。情報が横断的に社内へ行きわたらず、ビジネスの効率化や新しいものを生み出すイノベーションの阻害要因となってしまうためです。これを情報・データの「サイロ化」と呼びます。今回は、サイロ化の解決につながる「データの統合」についてまとめてみました。

ビジネスの成長を阻む、情報のサイロ化に陥っていませんか?

現代のビジネスにおいて、情報の共有化は欠かせません。このことはご存知と思いますが、では情報の共有化や有効活用ができていないというのは、どのような状況を指すのでしょうか?

情報のサイロ化とは?

部署などによる組織や役割の細分化は、それぞれの専門分野でプロフェッショナルを育成し、連帯感を生み出すという効果がありました。その一方で、別の部署との連携を阻む、セクショナリズムな縦割り組織を生む結果にもなりました。それがそのまま、情報の共有化の阻害要因になっています。これが情報のサイロ化と呼ばれる状態です。例えば、顧客サービスの向上に役立つ情報が営業部に保管されていたとしても、それが顧客サービス部の担当者と共有されない、という結果を招くことになるのです。

情報のサイロ化とビジネスにとってのデメリット

情報のサイロ化は、企画や開発に役立つ有用な情報を活用できないだけでなく、ビジネスの即時性や効率化にも悪影響を及ぼします。顧客が次の商品やサービスを欲していることを営業部や顧客サービス部が把握していたとしても、それが開発部に伝わっていなければ新しいアクションは生まれません。結果として、展開の遅い企業になってしまいます。また、似たような情報を複数の部署で収集・管理していると、コスト面や効率面での弊害も多くなります。こういった体制では、多くの点で市場に遅れをとるリスクを抱えた企業になってしまうでしょう。競合会社に先を行かれてしましますし、顧客のニーズにも応えられません。

サイロ化を防ぐデータ統合の必要性

こういった問題の解決策は、情報のサイロ化を防ぐことです。つまり、すでに分散してしまっているデータの統合化にほかなりません。まずは、その概要から見ていきましょう。

データ統合とは

社内の各部署に保管されているあらゆるデータを集約し、誰もがいつでも使えるように統合管理することが「データ統合」です。データの所在や形式などを明らかにし、分類方法やデータの整備、その保管ルールなどの検討を経て、実用的に使えるように整理しなければなりません。

データ統合のメリット

最もわかりやすい例は、顧客情報の統合でしょう。営業部には、顧客との接触の記録、購入記録などが保管されています。一方、顧客サービス部では、問い合わせなどの記録が残されています。そのほか、経理部に保管されている支払状況のデータや、法務関係の契約条件なども該当します。これらが統合化されていない場合、顧客からの問い合わせ内容によっては、複数の部署に依頼して情報を集めなければならなくなります。データが統合されていれば即時に対応できるので、情報検索の手間、時間、負担を減らすことができます。そして、これらに費やされる無駄な人件費の低減につながります。結果として、各社員がコア業務に集中する時間を担保することになり、労働の質も向上します。

情報の統合は、新しい発見にもつながります。日常の問い合わせ内容が、研究部やマーケティング部が活動を進めていくうえでの大きなヒントになるかもしれないためです。また、互いに情報を共有・交換できるため、共通のテーマを見つけやすくなり、社内コラボレーションの機会が高まることも期待できます。イノベーションを起こす環境としても、ぜひデータ統合を実現しておきたいものです。

さらに、データ統合が注目される背景として、ビッグデータやAI(人工知能)のビジネス活用が挙げられます。こういった新しい技術を活用するにはデータが不可欠となります。どちらも、今後のビジネスに積極的に生かしていくべき重要な技術です。対応が遅れることで、競合会社との競争に支障をきたすかもしれません。しかし、これには課題があります。これまでのITシステムは、導入する気になれば比較的容易に構築することができました。しかし、多くのデータが関わるAIなどは、データを効率的に管理し、有効活用できる環境が整備されていないと導入できません。そういった意味でも、データ統合には大きなメリットがあると言えます。

データ統合の最適化スタイル、データレイク/データウェアハウス

続いて、データ統合の例を紹介すると同時に、どのような形が理想的なのかを見ていきます。

データレイクとデータウェアハウス

よく耳にする言葉として「データレイク」と「データウェアハウス」があります。どちらもデータの保管場所や保管方法を意味しますが、それぞれ概念が異なります。以下に整理しておきましょう。

  • データレイク
    テキストや画像、動画、音声など、さまざまな形式のファイルが蓄積されたデータベースを意味します。インターネットが普及した現在では、ネット上で発生したデータも次々と企業に集まってきます。このようなデータを必要に応じて引き出せるようにするために、それらを蓄積できる環境と機能を備えたものがデータレイクです。
  • データウェアハウス
    営業部、経理部、その他の部署など、複数の部署に蓄積されてきたデータを統合し、分類、整理、時系列化してデータベースにすることを指します。データレイクには画像などの非構造化データが含まれますが、こちらは構造化データを整理し、業務分析や情報共有に活用するために統合することが主な目的となります。

データレイクとデータウェアハウスの使い方とメリット

両者は似ているように見えますが、役割とメリットが異なります。それぞれについて、次のようにまとめることができます。

  • データレイク
    分散されていたものを1カ所に集めるというシンプルな考え方が基本です。各部署が作成した商品の画像データ、図面データ、テキストなどを1カ所に集約することで、Webマーケティングやカタログ制作などを効率化し、キャンペーンなどの突発案件にもスピーディーに対応できるようになります。
    ビッグデータ分析やAIを利用する際に「どのデータを活用するか」は、その時点で決めることになります。ただし、そのためには、データをデータレイク化しておき、必要なときに必要な情報を引き出せる環境を構築しておかなければなりません。
  • データウェアハウス
    データを構造化して統合整理することで、目的に応じた抽出や分析ができるようになり、時間的コストを削減し、データ利用による意思決定の速さや正確性を向上させることができます。よって、あらかじめ目的や効果を考えてデータウェアハウスの構築に取り込む必要があります。すべてのデータを統合するのではなく、共有価値の高いデータ、再検索・再利用される可能性が高いデータに絞ったほうが統合化の費用対効果は高くなります。

まとめ:とにかく情報の「サイロ化」は避ける、そのためのデータ統合という概念を導入

今回は、データ統合の必要性やその方法をおおまかに説明しました。縦割り組織では、利用の仕方次第で大きな価値を生み出すデータが、社内の各部署に分散してしまっている状態がサイロ化です。まずは、データのありかを把握したり、データ形式を確認したりすることなどから始めるとよいでしょう。そして、実施にあたっては、それぞれに専用のツールを導入することをお勧めします。

重要なのは「情報がサイロ化していることに気づく」ことです。まだビッグデータやAIの活用に至っていないがために、多くの企業が情報をサイロ化させたままにしています。現状を正しく把握し、サイロ化の無駄に目を向けなければなりません。そして、データの棚卸しなど、まずはできることから着手し、データ共有のあるべき姿、そのメリットの想定などを同時に進めていきます。情報共有が進んでいない現状を認識し、不都合な点や改善すべき課題をリストアップすることから始めてみてもよいかもしれません。